■林之助の著述等
林之助は、ランの栽培の中でも、とくにカトレヤの栽培に関する啓蒙書に多くの文章を著しています。インタビュー再掲もその1つですが、その他のいくつかを紹介します。
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・蘭の作り方 日本蘭業組合編纂 1954(昭和29)年 第一園芸出版部 P278
「カトレヤ栽培の概念」P121~135
戦後初の一般向け洋ラン栽培書です。巻末の執筆者紹介には、「中山林之助 日本蘭業組合員、戦前台湾に於ける洋蘭栽培の先覚者、現在も実生新種の作出に努めている」とあります。15名の執筆者のうち、8名が日本蘭業組合員です。そのうち、平の組合員は林之助ともう1名だけです、栽培実践家としての林之助の実績でしょう。再掲した「
結末」のラン栽培初心者への応援メッセージの洒脱には驚かされます。なお、執筆者の中には、インタビュー再掲の中の「
無菌培養との出会い」で紹介されている
土屋格先生の名前も見えます。
結末(再掲)
以上栽培の要点のみ簡単に述べて見たが、一般に蘭作りは大変厄介でむずかしいもののようにのみ思われているが、鉢物作りとしては、実に容易で永久の寿命ある植物ではあり、まったく楽しみなものである。「百聞は一見にしかず」の諺の如く、栽培者の温室をたぴたび見学することが一番早道である。
愛蘭家は往々にして話し好き、天狗の連中が多いから、手軽な菓子箱でも下げて行けぱお茶も出るであろうし、さんざん説明も聞かされ、時には株の一鉢も頂けることもあろうから遠慮なく出掛けろことである。
但し必らず下手に出るように充分心得置くべきこと、たとへ先方が下駄ぱきであろうと。
・総合種苗ガイド5洋ラン編 ガーデンライフ編 1969(昭和44)年 誠文堂新光社 P302
「カトレヤ類」P41~100
その名のとおり、洋ランの種苗のリストで構成されているガイドブックです。カトレヤ類の章は、林之助他2名の共同で執筆されていますが、その章の中の「カトレヤ系の一般的な作り方」という記事は、林之助の署名入りです。冒頭の解説も林之助の手になると推量されます(これらの内容は、上記の「蘭の作り方/カトレヤ栽培の概念」と酷似しています)。
ブラソレリオカトレヤ(Blc.)の項には、林之助の交配した登録種
R.Nakayamaも下記のようにリストアップされている。
◎アール・ナカヤマ R.Nakayama
Bc.Cliftonii×Lc.Corisande 1952年登録。中山林之助氏作出による。平均して良い花が咲き個々の差は表現困難である。氏が変種名を名付けた株は一応水準以上といえる。強健な、趣味兼切花向実用種。代表して'連島’を記述し、他は変種名を列記するにとどめる。
'連島’R.Nakayama'Tsurajima' AM/JOS
S,P共淡桃色で幅広隙なし、Pの先端に小さな紅紫のぼかし、やや厚肉、Lは濃紅紫ビロード色、周縁淡桃色、喉前左右鮮黄、色彩対照欲良く、整型。
AM/JOS受賞は上記の他、'甲南''Konan'、'マンモス''Monmoth'、'奥津''Okutsu'がある。その他'博多''Hakata'、'淳子''Junko'、'三朝''Misasa'、'高松''Takamatsu'その他多数ある。
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